2月に金剛山から紀見峠を縦走したが、そのときからの念願であつた東六甲縦走、いよいよその日が来た。例によってラーメン1個、水1L、ガスコンロ、トマトジュース1缶、それに聡用につくってあったおにぎりの内1個を持って出発。 |
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9時阪急芦屋川着。快晴である。駅北側公園で身繕いしてから出発する。 |
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しばらく広壮な住宅街をゆく。だんだんアスファルト道が登りにかかるころ[右荒地山]云々の指示板。5月10日予定の千里バッハハイクはこの右コースを予定しているのだ。 |
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なにしろゴールデンウィークの初日で快晴、おまけに有名コースとくるから、混雑もはげしい。ちょっと休むとすぐ10人余りの人に追い抜かれてしまう。急き立てられるような思いですすむ。 |
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すぐ左向うの尾根の岩場を登っている人が2〜3人。地図によると[A懸垂崖]である。このあたりだけにこのような岩場が集中しているのが何とも奇妙ではある。また右手には鷹尾山から荒地山への急峻な尾根がこちらより高く連なっており、一部は先般の山火事でまっくろけになっている。あの傾斜をバッハのご婦人連中や子供連れが登れるのだろうか、また山火事のあとは大丈夫だろうか・・・心配になる。 |
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だんだん息が切れてくる。そうでなくとも今日は気温が高い。少し登ってはハァハァ。その度ごとに微かに頬をなでる微風が心地よい。何度かのハァハァののちにようやく平坦なところへ出る。一瞬風吹岩かと思ったがまだまだ。ジュース類の売店である。ウーロン茶を1缶求める。150円。ここではそれだけの値打はあるのである。 |
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ここからややあって漸く風吹岩に着く。9:50。 |
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小休止するところだが、行程の先行きを考えて写真を撮っただけですぐ出発する。 |
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道は平坦になる。鴬がよく鳴いている。コメツツジがいままっ盛りである。横池、打越山方面への分岐を見送ると、やがて湿地帯のところで荒地山からの道を合する。12日はここへ出てきて風吹岩経由で下山するのである。 |
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ゴルフ場にさしかかる。芦屋カントリークラブである。話によるとゴルフ場の中を抜けるとのことだったので金網か何かと思っていたら、何と自然の植生の中を歩くのである。流石に六甲だと妙なところで感心した。ゴルフ場の中を抜けている感じはしない。途中に猪よけのトタン板の柵とハイカー用のドアがついている。 |
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咽喉が渇いてくるが、ポリタンはリュックの中程に押し込まれていて容易に出ない。ゴルフ場が尽きるところにゴルフ場がつくったらしい水飲み場がある。水がうまい。顔を洗って一息つく。 |
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ここから尾根筋に上がって左に住吉谷、右にゴルフ場を見下ろしながらしばらく行くと雨が峠である。目の前にこんもりと東お多福山スロープが盛り上がっている。ここにもジュースの売店(担いできただけの)が1軒出て、大勢休憩している。 |
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大学生らしい男5人、女3人のグループがワァワァ言いながら登ってゆくのと相前後しながら、緩いアップダウンの連続するスロープを遥か向うのピーク目指して登ってゆく。緩いのだがもうだいぶん疲れており、大丈夫かいナという懸念が掠める。 |
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ようよう東お多福山のピーク到着。11:00。標高697m。眼前に芦屋奥池、ゴルフ場。振り向けば西お多福山、最高峰などが一望のもと。とにかく木一本無いのでその眺望は最高である。ただここでのんびりしているわけにはゆかないのである。行程の未だ半ばにも至っていない。またスタートだ。 |
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蛇谷北山を目前に左手の[土樋割峠へ]の道を下ってゆく。ここで愕然とした。ドンドン下ってしまうのである。こんな筈ではなかった、僅か下るだけだと思っていたのに。これじゃ697m稼いだのが無駄になる。 |
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しかしすべもない。遂に峠まで降りてしまう。630m。ここは左へすぐ本庄橋、右は林道を経て芦屋奥池へと通ずるところである。 |
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ふと気がつくと[蛇谷北山 芦屋最高峰 836m]の標識が立っている広場が道の左手にみえる。さして眺望も利かないようなので、写真を撮っただけで通過する。 |
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しばらく行くと道はまた下り始める。右手から芦有ドライブウエイの自動車の騒音が聞こえてくる。しきりにポリタンから水を補給し過ぎたからか、疲労が急に出て、とうとう腰を下ろしてしまう。もう12時なのに不思議と空腹感がない。レモンを持ってきたらよかったかと思う。ここからどうしようか、目前に高く見えるところが多分石宝殿だろうが、あそこまでで精根尽き果てるだろう、今既にガタガタだから。涼風に身を委せながらしばらく木陰でボーッとしてしまう。 |
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2組ほど目の前を行き過ぎる。とにかく石宝殿まで行かないことには車に助けて貰うことも出来ない。必死の思いで歩き出す。 |
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1人のオッサンと2人のヤングがしゃべっている。どうやらオッサンは六甲のベテラン、ヤングは新米だが今難しい谷を攻めて来たらしく、しきりにオッサンがようそんな難しいコースを登ってきたと感嘆していた。 |
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しばらくすると先刻の人が上がって来て「おかしいナ」「どうしました」「谷に降りてしまう」「何処へ行かはるんですか」「縦走路を宝塚まで」「ああ、それじゃ道が違います」ということで正しい道を教える。件の人は首をひねりひねり教えた道へ出ていった。あまり信用されていないみたい。 |
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300mほど車を掻き分けて進むと縦走路の山道の標識がある。さあ、10kmにわたる縦走の開始だ。 |
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松の混じる雑木林の中を走る道。展望はこういう道の常で必ずしも良くない。804mの水無山を越え、約50分で船坂峠。由緒ある峠だというが、標識もなく、僅かに[東六甲縦走路]の標識にビニールテープで[フナサカ]と貼り付けてあるのみ。寂しいものである。 |
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全般的に下りだとはいいながら少しずつアップダウンがあり、疲れた身にはアップが応える。あちこちで小休止を繰り返しながら道を辿る。地図上の標準時間より早めに歩いているのだが、ポイントでは大体同じくらいに落ち着いている。 |
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岩倉山から北へ向くと、間もなく砂山権現。簡素な石造りの神社だが、“権現"って何だろうと、また考えてしまう。ここでも写真を撮っただけで通過。間もなくズル斜面になる。どんどん高度を下げて行くうちに塩尾寺の屋根が見えてくる。 |
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塩尾寺で水か何か飲物をと考えていたが、水の補給場らしきものはなく、自動販売機のみ。あほらしくなって、ポリタンの水を飲み、残りを棄てる。 |
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【追記】 |