JR玉手から近鉄飛鳥まで  2017年4月29日

♣ 独 行“高市郡内の式内社を巡る” ♣

たてこみスケジュールが一休み状態になったので、暫時ホッコラしようと思っていた。が。持ち前の貧乏性が然らしむるのかどうか知らないが、一日何もしなかったら、そしてお天気が晴れたらもうダメ。「さ、ここ半年がとこ温めてきたプランを実行するのは今日しかない」。飛び出したのはよいが、2時間後に唖然とすることになる。

例によって岸辺→大阪→天王寺から快速で大和高田。乗り換えて和歌山線玉手たまで駅に降り立つ。時すでに11:39。空が飛んでしまった。

♪駅舎はネェ。駅員もいネェ。券売機があるだけでICカード下車処理が出来ないではないか。。(唖然)。。京奈和道路の高架橋の向こうは葛城山。

Sample

踏切を渡り高速道沿いに一路北東へ。観音寺の在では存在感のあるお邸の角に道標「左こせいせ(御所伊勢)/はせなら(長谷奈良)」「右神武天皇道」

畝に播種したと思しきレンゲ畑。道中あちこちでレンゲを見たが、かつての“一面のレンゲ畑”は稀。

本日の最初のターゲット・稲代坐いなしろにます神社。橿原市一町かずちょうに坐す。【大和名所図会】稲代坐神社(いなしろにいますかみのやしろ) 常門村にあり。今打鳥祠と称す。〔神名帳〕〔三代實録〕に出づ。 鳥居は北を向くが社殿はすべて南向き。

稲代坐神社境内に正午の陽光を浴びてひときわ鮮やかな藤の花。

常識的には社殿が南向きならこちらに正面鳥居と参道があるのが普通だが、見ての通りただ畑と畦道しかない現状。“サトちゃん”で知られる某薬品会社脇から社叢に別れを告げ次へ向かう。

曽我川を渡って南東へ1km余で次の第Aターゲット・天津石門別あまついわとわけ神社。高取町越智に坐す。【大和名所図会】にはなぜか記載がなかった。

上記「社頭鳥居、拝殿、本殿」と思われるだろうが、実は右は本殿ではなく“第二の拝殿”的なもの。見ての通り立派な屋根の下は素通し。この四角の石板に囲繞された場所が本殿にあたり、中にご神体の榊が植わっているという。これが当社の古い信仰形態を示し、そこから明治期に比定された「式内・天津石門別神社」ではないという説もあるという。

石門別神社裏口を出たところのお家に紫陽花が咲いていた。新鮮な感じがした。写真はないが、その裏の小山には山藤が満開だった。

高取町越智おちから明日香村檜前ひのくまに延びる道路。延々3km余を歩く。真弓峠までほぼ真っ直ぐ。振り返れば西方金剛葛城の連山(右写真)。

途中あちこちで古墳を目にする。左は与楽ようらく鑵子かんす塚古墳。手前の立て札には「←乾城古墳」「貝吹山城跡→」とあった。

真弓峠の標識には「真弓鑵子塚古墳」の表示があったが実見叶わず。

峠を越えると飛鳥の里。真正面はつい先日訪れた許世都比古命神社の社叢。あれはたしか飛鳥駅の裏だったはず。今日はまだあと3社あるのでソッポ向いて行かねばならない。というところで道を間違えたのに気づき写真右の下り道でなく、右直角にとって南方へ降りてゆく。ソッポ向いて・・・・・・

今日の第Bターゲット・櫛玉命くしたまのみこと神社。社頭鳥居が西に向いていて社殿は本殿が南向き、しかも拝殿が離れているというのはお近くの許世都比古命神社とそっくり。【大和名所図会】櫛玉命神社(くしたまのみことのかみのやしろ)四座 眞弓村にあり。今八幡と称す。〔神名帳〕〔三代實録〕に出づ。

櫛玉命神社社叢の藤の花満開

お社を出ると目の前に何とかイチゴ園。何組かの親子連れが手にビニール袋を提げ、口をモグモグさせながら出てきた。(゜-゜)。まだ2社残っている。じっと我慢の子である。
 踏切を渡って東方へ1km余。見えてきた鳥居は「おみあし」さんらしい。

今日の第Cターゲット・於美阿志おみあし神社。当社は阿知使主(あちのおみ)を祭神として祀る。また渡来氏族である東漢氏(やまとのあやうじ)の氏寺と伝わる檜前ひのくま寺跡が境内にある。これらは予習して心得ていた。しかし、入口の案内表示には「キトラ古墳」まで書いてあるではないか。そこまでは調べが及ばなかった。ザンネン。【大和名所図会】於美阿志神社(おみあしのじんじゃ) 檜隈村にあり。僧舎を道興寺といふ。檜隈・大根田二村の氏神とす。〔神名帳〕に出づ。

寺跡を如実に示すのがこの(欠けて11重だが)十三重石塔。国の重要文化財である。

これは伝承に基づく(第28代)「宣化天皇檜隈廬入野宮趾」碑。すべてこの境内の一角にある。

今日の最終Dターゲット・呉津彦くれつひこ神社。式内・呉津孫神社の論社。渡来氏族呉氏ゆかりの地で在所・栗原は「呉原」の転訛かともいう。行程1kmないのだが登り坂でしかもMapの誤誘導(!)で疲れた。【大和名所図会】呉津彦神社(くれつひこのかみのやしろ) 栗原村にあり。今下の宮と称す。〔神名帳〕に出づ。

参道脇に群生するシャガ(著莪)。いまが盛り。

ご神木・ムクロジ(無患子)。でかい。

栗原集落の道のど真中に井戸。電動ポンプがあるのでまだ現役か。

かくて本日の予定終了。県道210号に出て(下り道だ!)真っ直ぐな道を1.7km。飛鳥駅に着いてホッとする間もなく(出来ず)、、、というのはICカードが改札機に撥ねられたのである。「あ、どこで降りられました?」と駅員。どうもよくあることのようだ。事情を述べると「JR駅でしか精算出来ない」とのことで、予定を変更して鶴橋まで現金で切符を買う羽目になる。何やかやで、岸辺経由帰宅したのは最近には珍しい18時前であった。

今日の総歩数 18,488 歩    ̄|△| ̄   ルートマップはこちら