先日、不整脈に伴う立ち眩みの頻発で薬のお世話になるようになって3日目。Y子さんが新ちゃんの音楽会にゆくというので1人で出発。お供はカメラと折り畳み傘のみ。11時過ぎ近鉄奈良に着き、バスの時間をみると何と1時間半余りあるではないか(10:34から12:49までないのだ)。柳生行きはやめようと一瞬思ったが、せっかく来たのに、天気もまあまあなのに、と思い直し、まずは興福寺見物に出かける。 |
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12:49のバスは満員。立っている人もいる。ハイカーとおぼしきは中年、ヤングとりまぜ5組くらい居る。途中あちこちに廃棄物(ゴミ)の集積場(投棄場?)を見る。慣れっこになったとはいいながらいつ見ても気分のいいものではない。 |
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1:25ころ忍辱山に着く。すぐそばが圓成寺。庭園が素晴らしい。折しも紅葉。ここ1週間くらいが盛りか。山と山の間に寺があり、そのすぐ脇を道路が通っている。車がなかった時代にはどんなに静寂を極めた所だったろうか。拝観料300円也を払って入山する。入口の事務所には若い娘さんが一人こたつに入ってワープロを打っている。客が近づかないと無視。何とのんびりしていることよ。 |
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本堂(重文:靴を脱ぐのが面倒臭くって上がらなかった)、多宝塔(平成2年建立)、鎮守 春日堂・白山堂(国宝)、鎮守 宇賀神本殿(重文)、楼門(重文)など。あとの徒歩時間がもう一つわからなかったため、そこそこに失礼したものの、庭園の楼門対岸からみた景色は紅葉と相俟って優雅の一言に尽きる。ぜひもう一度ゆっくり来たいもの。 |
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写真を撮り合っていたアベックにこちらのシャッターを頼み、向こうのも撮ってやって、東海自然歩道へ出発する。1:40。 |
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寺の前が工事中。それをやりすごしてすぐ左の山道へ入る。圓成寺の墓地(ここにも石仏があるらしい。あとから気がついた)を過ぎ、なだらかなアップダウンはあるものの、ほとんど平坦な山道が続く。 |
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木々は主として檜と落葉樹。珍しいことに杉は無い。地道の足裏に優しいこと。山歩きで木々の香りと共にうれしいのがこれである。誰一人行き交う人は居ない。 |
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誓多林で左側が開け、急斜面に一面の茶畑。はるか下に月ヶ瀬道が見える。そこからコンクリートの林道が茶畑に向かって上がって来ている。ほどなく峠下の集落に出る。正面向こうには峠道がある。左にも道路が向かっており、指示標の向かっている右側はダラダラ登りで10軒ほど家がある。周辺は一面のたんぼと茶畑。ふと東海自然歩道は終わったのかなと考えてしまう。外人さんを含めたいくつかのグループと行き交う。山では必ず「今日は」か何か挨拶があるが、ここでは半分位しかない。拍子抜け。 |
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家々の間を抜けてしばらくするとかの有名な峠の茶屋に出る。右前足が不自由なのとダックスフントみたいなのと犬が2匹盛んにポリ袋の中身をあさっている。たまたま客は一人も居ず、中でおじいちゃんが一人何かつくっている。「すみません、草餅下さい」「ハイハイ、いくつしましょ」「一人なので一つで結構です」「おおきに。お茶はそこにあるのでどうぞ飲んで下さい」皿に一つだけ入れてもらう。あまり甘くないあんこがしっかりつまった草餅を縁台でぱくつき、渋茶を飲む。ホッとするひととき。 |
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地獄谷石窟仏への道を左に見送り、高円山ドライブウェイと春日山周遊道路の合流点を右にとり、100mほどで左にある「柳生街道」の道標を下りてゆく。 |
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すぐ「穴仏30m」の表示があり少し登ると、あった、あった。浅い石窟に浮き彫りの仏像が数体。保護のためだろうが、小屋がけに金網。わびしい気配が漂っている。でもこういう急斜面に懸命に仏を彫った情熱って一体何なんだろう。こんな山の中までその評価のためにやってくるエライサンもいなかっただろうし、石工がやったんだとすれば、“この仏を彫る”ということに対する情熱以外にはないだろう。 |
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(石畳道@) |
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(石畳道A) |
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下っていくと地獄谷新池からの流れ沿いの道を合わせるちょっとした広場に首切地蔵。写真にあるより大きな赤い涎掛けをしてござる。あたりには杉の大木が数本。休憩のあずまやとトイレもあるが、何とも湿っぽい。 |
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いよいよ滝坂道の始まりである。しっかり石を敷いているのはいいのだが、場所が場所だけにいずれも苔むしており、しかも濡れている。やばい、気をつけねば。ややあって右岸に朝日観音(実は弥勒、左右は地蔵)を見る。。 |
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少し下ると今度は寝仏。石が転がっただけなのだが、いちいちそれなりの説明がついているわけだ |
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といっているうちに言わんこっちゃない。突如ズデンときた。ちょっと大股で重心を前へ移し過ぎたのだろうか。尻と両てのひらを撞く。尻の痛いこと痛いこと。カメラは大丈夫らしい。しばらくしゃがんで唸ったあと、ぼちぼちと歩き始める。大したことはなかったっようだ。寝仏さんのとなりで自分が寝仏になってはシャレにもならない。 |
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3:40に高畑に出る。すぐ白亳寺へ左折。立派な道が登ってゆく。静寂があたりを蔽う。こんなところに住んでみたいなとふと思う。奈良市街が少し低く広がって見える。結局白亳寺はぐるっと回っただけ。花のない萩を門前遥かに確認したのみで失礼し、新薬師寺へ向かう。 |