柳川・北原白秋「帰去来」詩碑の前で
−Glee34卒生 精鋭の面々−
1958年3月26日   



1T康東秀(康田秀雄)新矢起大田中昭次芳崎栄治(撮影)  
2T岩垣寛治加藤格村橋輝正山田安宏  
Br浅田隆大友慶介藤原正巳山岡義明  
Bs市島章三(C)大河内俊彦坪井高国浜田勝三森田秀夫脇地駿
この演奏旅行には上記18名を含め同期生30名が参加した。都合で柳川に遊べなかった12名の名を記す。
ㅤ中西勝美,尾崎公昭,高森雅巳,松本尚平,長沼成光,高淵一之,若狭富士雄,岡村吉晃,柳瀬一輝,家村忠男(堀),村中裕,阪井健二
この演奏旅行に参加できなかった6名は次の通り。
畑通雄,山田武彦,米田治夫廣田富雄,岡本一輝,坂田正夫

帰去来かへらなむ、いざ


山門やまと産土うぶすな
あが南風はえのまほら、
飛ばまし、今一度いまひとたび

筑紫よ、かく呼ばへば ほしよ潮の落差、
火照ほでり沁む夕日の潟。

ふるに、早やもこの眼、 見ざらむ、また葦かび、
籠飼ろうげや水かげろふ。

帰らなむ、いざかささぎ かの空やはじのたむろ、
待つらむぞ今一度いまひとたび
故郷やそのかの子ら、皆老いて遠きに、何ぞ寄るわらべごころ。

<大 意>
山門柳河は私を生んだ大地だ。
南風(はえ)に吹かれて雲がひるがえる、 美しい場所(まほろば)だ。
ああ鳥となってもう一度飛んで帰りたい。

筑紫よ、この名前を呼べば恋しく思い出される。
干満の差の激しいその海が夕陽に赤く染まる海の景色が

今や私の視力は衰え見えなくなってしまった。
たとえ故郷に帰っても 葦の群生や籠飼(魚などを捕るためのカゴ)、
水かげろうといった懐かしい風物を 見ることはできないのだ。

それでも帰りたい。カササギの舞い櫨(はじ)の木が群生する懐かしい故郷柳川に。
きっと私を待っているだろう。

故郷も当時遊んだ友達も年老いて遠ざかってしまった。
それなのに子供のようにこんなにも心引かれるのはどういうわけだろう。